![キュービクル(高圧受電設備)](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2022/10/202210191623_1.jpg)
キュービクルは重要な受変電設備ですが、専門性が高く技術的な理解が難しいため、工事内容や業者選定の判断に迷われる方が少なくありません。
例えば、当社に工事をお任せいただく方は、このような疑問・不安をお持ちです。
- キュービクル工事がどのようなものかイメージできない
- 費用相場がわからない/見積もりが適正かわからない
- 予算、工事期間、停電時間を最小限に抑えたい
- 本当に今、やらなければいけないのか?を確認したい
- 信頼できる業者を知りたい
そこで本記事では「キュービクル工事の基礎知識」から「業者の選定ポイント」までをわかりやすく解説します。本記事を参考に、適切な工事計画の立案にお役立てください。
【本記事で分かること】
キュービクル(高圧受電設備)とは
![](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/P8150018-1.jpg)
キュービクルは、電力会社から送られてくる高圧の電気を低圧電気に変換して、日常使いできるようにする設備です。
より詳しくはこうなります。
「電気の送電は高電圧の方が効率が良いため、電力会社から6600ボルトで送電されます。この高電圧を安全に使用するために、ビルやマンションなどの建物に設置したキュービクルが100ボルトや200ボルトに変換して、安全に使えるようにします」
こうしたキュービクルですが「変圧器、電圧・電流計、開閉器、保護装置」などの機器一式が金属製のボックスにまとめて収納しており、商業施設やオフィスビル、工場の駐車場や屋上などで「変電設備」という表示とともに設置してあります。
なぜキュービクル工事が必要なのか?主な役割とは
キュービクル工事は、各施設で安全かつ効率的な電力供給を実現するために必要です。
具体的には下記役割を担います。
- 高圧電力を受電し、各施設で使用可能な低圧電力に変換する
- 漏電やショート時に電気を遮断する
※契約電力が50kW以上の施設では法律で設置が義務付けられています。
もしキュービクル工事・更新を行わない場合は、下記のようなリスクが発生します。
- 電力効率の低下
- 漏電や停電、最悪の場合は火災に発展
このように、長期停電や周辺への波及事故を引き起こし、改修工事費用をはるかに超える甚大な被害が生じる恐れがあります。
高圧受電契約と低圧受電契約
キュービクル工事の必要性や責任範囲を知るために、高圧受電契約と低圧受電契約について知っておきましょう。
それぞれの違いを、以下の表にまとめました。
高圧受電契約 | 低圧受電契約 | |
ワット数による違い | 契約電力が50キロワット以上 | 契約電力が50キロワット未満 |
主な利用先 | 大型商業施設・工場・病院 | 一般家庭・小規模店舗(コンビニなど) |
管理義務 | 事業者に管理義務がある | 事業者に管理義務がない |
また、高圧受電契約は低圧受電契約に比べて単価が低く設定されているため、電力コストを大幅に削減できます。
キュービクル(電気工作物)の 保安規程
![](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2022/01/cubicle-work.jpeg)
キュービクルは、電気事業法において「自家用電気工作物(※)」に位置づけられます。
そして、自家用電気工作物を設置する場合には、保安規程の作成と遵守が求められます。
保安規程については、下記の「関東電気保安協会」の内容をご確認ください。
保安規程は、電気工作物の安全を確保するため工事、維持及び運用について自家用電気設備の設置者が作成し経済産業大臣に届け出ることが義務づけられており、この保安規程を守ることが電気事業法で定められています。
引用元:関東電気保安協会
※「自家用電気工作物」とは下記のようなものを指します。
- 電力会社から高圧及び特別高圧で受電するもの
- 小出力発電設備以外の発電設備が有するもの
- 構外にわたる電線路を有するもの
キュービクルの種類
![キュービクル、
屋上](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/24623547_s.jpg)
キュービクルは、大型、標準、小型の3つがあります。それぞれで適した建物やサイズ、費用相場なども異なります。
ご自身の建物に合ったキュービクルを選ぶために、以下の内容をご確認ください。
ただし、以下で紹介する費用についてはあくまで参考程度と考えてください。キュービクル内に使用する機器の種類や容量、世の中の値上がりなどの状況など、様々な要素によって費用は変動します。
大型キュービクル
![大型キュービクル](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/3919855_s.jpg)
大型キュービクルは、大量の電力を必要とする大規模工場、ショッピングモール、総合病院などの施設に設置されます。一般的なキュービクルでは対応できないため、施設ごとに設計された大型キュービクルが必要です。
施設の規模や用途に応じて特注生産されるため、サイズや仕様は施設ごとに異なり、導入コストも高額になります。
標準キュービクル
![標準キュービクル(高圧受電設備)](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/985417_s.jpg)
標準キュービクルは、中規模工場やスーパーマーケットなど、一定規模の電力を必要とする施設向けです。
大型とは異なり、既製品を導入するケースがほとんどで、サイズは「高さ2,400mm×幅1,600〜3,200mm×奥行1,000〜1,900mm」程度となります。費用相場は、1機あたり300〜400万円程度です。
小型キュービクル
![小型キュービクル(高圧受電設備)](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/202409191751_11.jpg)
小型キュービクルは、コンビニなどの小規模店舗向けです。これらの店舗では、冷凍・冷蔵設備など一般家庭よりも高い電圧の機器を使用するために、キュービクルを使用します。
小型キュービクルのサイズは「高さ1,700〜2,000mm×幅900〜1,600mm×奥行800〜1,000mm」程度となります。費用相場は、1機あたり約200万円です。
キュービクル工事の費用相場
![キュービクル(高圧受電設備)](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/DSC03374.jpg)
キュービクル工事では、主に「工事費用」「メンテナンス費用」の2つがかかります。
工事全体の費用目安を知り、予算を確保するためにも、ぜひ参考にしてください。
ただし、状況によって変動するため、あくまで参考程度としてください。
工事費用
キュービクル工事の費用は、施設の状況や設置環境によって大きく異なるため、一概に金額を示すことはできません。同じ大きさのキュービクルでも、施設の構造、立地条件、工事の難易度によって費用は変動します。
そのため、実際の費用を知るには、専門業者による現場確認と見積もりが不可欠です。
メンテナンス費用
キュービクルを設置した後は、設備の安全性と性能を維持するためにメンテナンスが必要です。メンテナンスは電気主任技術者が担当し、月次点検または年次点検を実施した後、その結果を事業者へ報告しなければなりません。
メンテナンス費用相場は月額5〜10万円程度といわれますが、委託する業者によって金額は異なります。
キュービクル工事の流れ
![](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2022/01/cubicle-work2.jpeg)
キュービクル工事の流れを「設置」「改修(更新)」の2つに分けて解説します。具体的な期間についても解説しますので、工事計画を立てる際にお役立てください。
キュービクル設置工事の流れ
キュービクル設置工事は、計画から完了まで以下のような流れで進めます。
事前準備の流れ | 1.お見積り ↓ 2.詳細の打ち合わせ ↓ 3.契約締結 ↓ 4.申請手続き(電気主任技術者の選任、保安規程の届出など) |
事前準備の期間 | 状況により異なりますが、数カ月を要します |
工事の流れ | 1.基礎工事 ↓ 2.キュービクル本体の設置 ↓ 3.配線工事 ↓ 4.動作試験と確認 |
工事期間 | 1週間前後 |
工事自体は1週間前後ですが、事前準備に期間を要するので、余裕をもって業者へ依頼をしてください。
キュービクル改修(更新)工事の流れ
キュービクルの改修(更新)工事は、下記の流れで進みます。
内容 | 詳細 |
準備段階 | 1.現状調査 ↓ 2.改修提案 ↓ 3.見積作成 ↓ 4.改修計画の立案 |
申請手続きと日程調整 | 電力会社への申請・テナントとの停電調整など |
工事実施(1日~2日) | 1.改修工事↓2.試験、確認 |
全体でかかる期間 | 2〜3カ月程度 |
ここで注意しておきたいのが、テナントとの停電調整です。電力会社への申請は基本的に工事会社で行いますが、停電日程調整は建物の管理会社やオーナー様で行うケースがあります。
キュービクル改修(更新)工事のタイミング
キュービクル改修工事のタイミングは、耐用年数が参考になります。下記は、日本電気工業会が推奨するキュービクル主要機器の実用耐用年数です。
機器 | 実用耐用年数 |
高圧断路器・遮断機 | 20年 |
高圧交流負荷開閉器 | 屋外用:10年 屋内用:15年 |
保護避電器 | 15年 |
計器用変成器・変圧器・変流器 | 15年 |
変圧器 | 20年 |
コンデンサー | 15年 |
リアクトル | 15年 |
ただし、設置条件、使用状況、保守状況によって改修工事の期間は異なります。また、これらの機器は、見た目で不具合がわかりにくい特徴があるので、定期的なメンテナンスを行い、少しでも不具合があれば後回しにせずに改修工事を行うことをおすすめします。
【重要】キュービクル工事・業者選びが大事な理由と解決策
![キュービクル(高圧受電設備)](https://shutoken-bm.co.jp/wp-content/uploads/2024/09/202409191751_8.jpg)
キュービクル工事について知識がないために、「とりあえず」で業者を選んでしまう方もいるかもしれません。しかし、キュービクルは建物の重要な設備であるため、業者選びは入念に行ってほしいところです。
業者選びが大事な理由として下記5つについて解決策も合わせて解説します。
- 見積額が大きく変わる
- 工事実績が異なる
- メンテナンスなどのサポート力が違う
- 提案〜工事完了までの寄り添い力、サポート力が大きく違う
- 稀に検査がずさんな会社がある
安心して工事を依頼するために、参考にしてください。
理由1.見積額が大きく変わる
キュービクル工事は、同じ工事内容でも業者によって見積額に大きな差が生じます。そのため、最低でも2社以上から見積もりを取ってください。
理由はこちらです。
1.大手と中小企業では見積額が変わる
例えば、大手の場合は比較的高い見積もりになる傾向があります。一方で小回りが利く中小企業の場合、お客様の状況に合わせた見積もりができるので、金額に違いが生まれます。
2.安すぎる金額の場合、工事やサポートが雑になることがある
安すぎるかどうかの判断も難しいかもしれませんが、安価な場合は工事やサポートが雑になるなどのケースがあります。安くできるだけの理由があると言えるでしょう。
そのため2社以上の金額と内訳を比較して、適切な見積もりを選べるようにしたいところです。
下記ポイントを業者の担当者に確認するのもおすすめです。
- なぜその工事や機器が必要なのか?
- テナントへの影響をどう抑えるのか?
- 希望の予算や内容に沿った見積もりになっているか?
こうした質問に対して、丁寧に答えてくれるか?寄り添ったやり取りをしてくれるか?説明がしっかりしているか?を確認するだけでも、良い見極めをしやすくなります。
理由2.工事実績が異なる
業者によりキュービクル工事の実績が異なる点も考慮したいところです。
WEBサイトに掲載された事例を見ると、素晴らしいと思ってしまいがちです。しかし蓋を開けると、工事実績の数は会社により数十、数百と違ってきます。
さらに、経験の浅い業者が「逆相接続(※)」と呼ばれる重大トラブルを起こしたケースもあるので、経験値の多い会社にお願いしたいところです。※稀な事例ではあります。
そこで業者に確認したいポイントはこちです。
- 会社としてのキュービクル工事歴
- キュービクル工事の事例数
- WEBサイトに掲載していない事例
業者の経験値を判断できる指標になりますし、2社以上を比較すれば違いも明確になるのでおすすめです。
※逆相接続とは、R相、S相、T相という3種類の位相があるのですが、接続をする際に「R相とS相をつなぐ」など、別の位相同士をつなぐことを言います。
理由3.メンテナンスなどのサポート力が違う
キュービクル工事の業者には種類があり、工事前・工事中・工事後のサポート力が変わります。
業者の種類はこちらです。
- 工事専門の会社
- ビルマネジメント会社
工事そのものは経験値のある会社ならどちらも変わりません。しかし下記のようなビルマネジメント視点が必要な部分は違いがあります。
- 停電の最小化
- 停電中の対応
- 各テナントとの日程調整 など
この点はビルマネジメント会社の工事部門が行うサポートは、かゆいところまで手が届き、丁寧に進めてくれると言えるでしょう。
理由4.提案〜工事完了までの寄り添い力、サポート力が大きく違う
提案〜工事完了まで、どれだけわかりやすくビルオーナーの状況・意向を汲み取ってくれるか?は業者により変わります。
現状の設備状態評価だけでなく、オーナーの予算、今後の使用計画、電力需要予測なども考慮しながら単に最適なプランを提案する会社もあれば、決まった流れでメンテナンスを行う会社もあります。
ひどい場合には依頼する側が理解できていないまま進んでいくことも。
そのため業者との打ち合わせを通して、下記のように寄り添ったコミュニケーションを取ってくれるのか?を確認しましょう。
- コミュニケーションを重視してオーナーの要望を聞いてくれる
- 専門的な質問についてわかりやすく回答してくれる
- オーナーやビルの事情を組んだ提案をしてくれる
質問をしないと教えてくれない業者は要注意だと言えるでしょう。
理由5.稀に検査がずさんな会社がある
キュービクル工事の会社のなかには、残念ながら稀に検査がずさんな会社があります。検査が的確に行われていないと、突然の故障や、最悪の場合は停電の原因となります。
このような自体を起こさないためにも、最初の打ち合わせでこれまでの経験や実績、具体的な作業範囲について確認しておきたいところです。
キュービクル工事に関するよくある質問
当社にいただく内容を例に上げて、キュービクル工事におけるよくある質問を紹介します。
-
キュービクル工事の費用を安く抑える方法はありますか?
-
キュービクルのトランス(変圧器)の容量を適正なものに選択することで、工事金額や保守金額を抑えられるケースがあります。状況によっても異なりますので、詳しくは首都圏ビルマネジメントまでご相談ください。
-
停電を伴う工事の場合、休日や夜間でも対応可能ですか?
-
夜間や休日の対応も可能です。ただし、お客様の利用時間を避けるなどしていただき、影響を最小限に留めるようにしてください。
-
停電ができない設備の場合は、どのように対応したらよいですか?
-
会社によって対応は異なります。当社、首都圏ビルマネジメントの場合は、発電機などの貸し出しなどで対応いたします。ただし、内容によっては対応が難しい場合もございますので、一度詳細をお聞かせください。
まとめ
キュービクル工事(設置・修理)の費用と流れについて下記内容を紹介しました。
- キュービクル工事について
- キュービクル工事が必要な理由
- キュービクル工事の費用相場
- キュービクル工事の流れ
- キュービクル改修(更新)工事のタイミング
- 【重要】キュービクル工事・業者選びが大事な理由と解決策
中でもキュービクル工事を進めるなかで知ってほしいことは、「キュービクル工事の業者選びが重要」ということです。
業者選び5つのポイントはお役に立つはずです。
- 見積額や内容の適切な判断
- 工事実績と経験の確認
- メンテナンスのサポート体制
- 提案から工事完了までの寄り添い力
- 検査体制の確認
信頼できる業者選定と適切な工事計画の立案にお役立てください。
お気軽にお問い合わせください。03-3289-0151受付時間 平日9:00~18:00
お問い合わせ