前回の基礎編①では、賃貸物件の管理やその項目について概要をお話ししました。
今回はその中でも建物の維持に大切な「日常清掃」に関してお話しします。

長年、建物管理の仕事をしていますが、「管理業務の中で一番大切なものは何か?」と質問されたら、真っ先に「清掃」と答えます。

どんなに新しい建物でも、清掃をしていなければ、数ヶ月で荒れてくることでしょう。いや、数ヶ月も必要なくあっという間かも知れません。人が動く、仕事をする、生活するというのは、思った以上に汚れるものです。

エントランス、エレベーター、エレベーターホール、廊下などの共用部、トイレや給湯室などの水回り、ゴミ庫、室内の床面など日常的に清掃が必要な場所になります。

■日常清掃の頻度による差とは?

では、「日常清掃」はどれくらいの頻度で実施すればいいのか?と聞かれることも多いのですが、私の回答はずばり「稼働日は毎日」です。(オフィスビルでは通常月曜~金曜の週5日ということが多いです。)

清掃をしっかり実施している建物とそうでない建物は、年数が経つにつれ徐々に差が出てきます。
どんな差かというと、「パッと見た目の雰囲気」が違ってきます。
「えっ、そんな抽象的なの?」
と思われるかも知れませんが、そうなのです。
ちょっとしたクスミの長年の積み重ねや清掃員が余裕をもって作業しているか、ギリギリの時間や日数の中で出来る範囲で作業しているかなどで違ってくるものです。

それから日が開くと、汚れたままの時間が長くなります。1日開くだけでも、それ以上にゴミや汚れが目につく時間が長くなります。

そして、それは入居者様、テナント様が快適に過ごせるかどうか、更には大切に長く利用してくれるかどうか、というところに関わってきます。

テナント様から「ここの清掃員さんはいつも綺麗にしてくれいて、とても快適ですよ」
と、お褒めの言葉を頂くと嬉しくなります。

■日常清掃の価値は清掃だけではない?

清掃員さんの仕事は当然、清掃をすることなのですが、実はそこには見えない価値があります。他に管理人さんや設備員さんが常駐するような建物は別ですが、ほとんどの中小の建物では毎日ビルに行くのは清掃員さんだけです。
清掃をしていると様々とところに目が行きますし、昨日と今日の違い、異常などにも気づきます。
私も「水が漏れている」「変な音がする」「不法投棄がある」「ガラスにヒビがはいっている」「照明がつかない」等々清掃員さんからの連絡で、早めに対応できたことが沢山あります。

清掃員さんは設備などの専門家ではありませんが、日々、愛着やプライドを持って仕事をしていると気が付くことが多いものです。そして、「何か異変を感じたら、連絡もらえると有難い」と伝えておくと、殆どの場合連絡がもらえます。(ただし、本業ではないので100%を求めるものではありません。)

その他にも毎日見てくれている人がいるというのは色々なメリットがあります。
管理に掛けられる予算面の制約はありますが、優先順位を上げて考えていただけると良いなと思います。

そして、忘れてはならないのが、清掃員さんに対する感謝の気持ちです。
朝早くから、寒い日も、暑い日も、雨が降っても仕事をしてくれるというのは、有り難いことですね。

次回は、他の清掃関係のお話しを致します。

株式会社首都圏ビルマネジメント
伊藤隆晴
03-3289-0151
t-ito@daku.co.jp

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