賃貸物件の管理 基礎編⑦

〖光熱費の算出と請求業務〗

前回、電気や水道メーターの検針についてお話ししました。
今回はそれを基に光熱費を計算し、請求する業務についてです。

お金の請求になりますから、正確であることは当然ですが、公平性とか納得感なども大切になります。
簡単そうで、意外と複雑な面があります。

■算出方法の2つの方式とは
算出するときに、方法、考え方としては大きく2つに分かれます。
一つ目は按分方式、つまり「比例して分ける」ということです。2つ目は単価方式、これは決まった単価に使用量を掛けるということになります。
実際は他の要素が入ってきたりしてシンプルにいかない場合が結構あります。

■按分方式
一つ目の按分方式について、もう少し詳しくお話しします。
先程、按分とは「比例して分ける」とお話ししましたが、では何に比例するのかということを考えなくてはなりません。
一般的にじゃ使用量で按分することが多いかと思います。
これは一見すると、「使った分でわけるから公平だ」となりますが、実は、電気や水道は従量料金制という計算で請求が来ていますので、単純に「公平」とはならないのです。
従量料金制は使用量が増えるにつれて、単価が上がります。つまり、使用量が多いテナントがいると使用量の少ないテナントは、使用量が多いテナントと同じ高い単価の使用料が請求されることになるのです。
でも、同じテナントでも多い月も少ない月もあるわけですし、ある程度は許容してもらわないと計算が大変なことになってしまいます。
しかし、水を沢山使う店舗と小人数の事務所が同じ建物に入っている場合は、許容範囲を超える場合もありますね。この場合は物件毎の事情を考慮しつつ、どうのようにバランスを取りながら公平に近づけるかは、管理会社の腕の見せ所かもしれませんね。

■単価方式
各テナントの検針値(使用量)に決めた単価を掛け合わせて算出します。
按分方式と違い全体の使用量や電力会社や水道局からの請求金額がわからなくても、直ぐに算出できますし、計算自体が容易というのがメリットになります。
私どもが管理する物件でも、電力会社などからの請求金額が出る前にテナントへの請求を立てたければならない場合は、この方式を採用しています。
この方式のデメリットは、電力会社などからの請求額とテナント請求額が不一致となることです。
建物所有者側で差額を許容するか、翌月精算などして合わせるなどで対応します。

少し前の中小規模のビルでは単価式が多かったように思います。私どもが、引き継いで管理を始めてみると、実は長らく単価が見直されておらず、差額が大きくなっていた物件もありました。
まめな見直しは必要ですね。

■請求業務
請求の前に、使用料金だけでなく、基本料金やその他の要素で追加される金額があれば、それを合算します。これは物件により違いがあります。
そうしてできた光熱費の請求は、賃料等の請求と一緒に行うことが多いです。
請求時は金額だけでなく、いつからいつまでの分なのかなどを明確にしておくと、問合せ時の対応や最終月の精算の時などわかりやすくなります。


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株式会社首都圏ビルマネジメント
管理部 伊藤隆晴
t-ito@daku.co.jp
 

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